わたしのこころを掴むや否や、パッと姿を消したあなた。
未だに忘れられなくて、毎日悶々と過ごしているわたしのことなど、きっと、あなたは知らないのでしょうね。
世間では、この気持ちを未練と呼ぶのでしょうか。
あなたが聞いていたという歌を、携帯電話に覚えさせ、肌身はなさないかの様に聞いています。
イヤーフォンでふさいだ耳が痛くなっても、ずっとずっと聞いていたい。
この気持ちは、もはや曲に対する思いなどではなく、執着にあたるのだと思います。
わたしは、あなたとの思い出に執着している。
それは事実なのでしょう。
わたしは、あなたに魅了された人間のうちの一人に過ぎません。
この歌が、わたしとあなたを繋ぐ、唯一の媒体の様なものだと信じて止まないのです。
少ない希望を歌に託すわたしは、まるで演歌の歌詞に出てくる女性の様です。
人に、心底惚れてしまった人間ほど、情けない生き物は居ないでしょう。
ああ情けない、情けないよう。
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