湿気で潤んだ夜って、いいですなあ。
皮膚の表面と、空気との境目がぼんやりしているのがすき。
あまりにも、その境目がぼんやりとしているもんだから、『自分』という感覚が掴みにくいのです。
空気の一部になったような錯覚がする。
このまま夜に溶けられるんじゃないかと、ワクワクしてしまうよ。
春の夜の心地よさは、母の胎内に居るイメエジです。
一年中、ずっとこんな気候のままがいいなと思うのだけれど、ずっとこんな気候だと、わたし、のうみそが溶けちゃうと思いますわ。
椎名林檎の『ギブス』で歌われる、
また四月がきたよ
同じ日のことを思い出して
という歌詞が、とてもすきです。
四月ってワクワクするんやけど、
そのワクワクを最大限に引き立てる『切なさ』が、丁度良い分量で調合されていると思う。
(お汁粉に、ひとつまみの塩を入れるような感じ)
そこがよいなあ。
年を重ねる度に、四月がすきでたまらなくなります。
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